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「そうでしたか、この時間になると電気をほとんど消してしまうので危ないですからね」
「そうですね、暗くて彼女もつまずいてしまったみたいです」
「外も真っ暗で危ないのでお気をつけてお帰り下さいね」
「はい、駐車場まで彼女を送りますから大丈夫です。お騒がせしました」
そう警備員さんに告げた王子様は、私の鞄をサッと持って歩き始める。
慌てて後をついて行くけれど、内心「警備員さん、この人と一緒の方が危ない予感がします!」と思っていた。
従業員出入口を出て少し歩いた所で、王子様がこちらを振り返る。
「……いつまで持たせるんだよ?」
「え?」
「俺はお前の召し使いか?」
ブンッと音を立てて私の鞄が手元に投げ渡され、その言葉の意味を理解する。
「ご、ごめんなさい」
「チッ」
驚く私をしり目に、王子様はそのまま踵を返して1人でスタスタと歩いて行ってしまった。
駐車場まで送って行く気は、ゼロのようだ。
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