第1章【森下姫奈と王子様】

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レジの後ろを通り抜けてバックルームに入ると、スタッフが荷物を置けるようにラックがあり、少し休憩が出来るように椅子も1脚置いてある。 あとは在庫が入っている段ボールが山積みになっているだけの小さな場所だ。 鞄をラックに乗せてタイムカードを押し、“店長 森下姫奈”と書かれた名札を首からぶら下げた。 「いらっしゃいませ」 私、森下姫奈(モリシタヒメナ)は、このアクセサリーショップsignの店長を任されて4年目になる。 店長に任命された当時は右も左も分からず手探り状態で、何度辞めようと思ったことか。 それに、いわゆる結婚適齢期でもあったから、仕事に振り回されるのも嫌だと思っていた。 それでも仕事を続けているうちに、自分で店を作っていくことの面白さ、スタッフを育てる楽しみ、お客様との信頼関係なんかが出来てきて“やりがい”を感じているため、今もこうして続けている。
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