第1章【森下姫奈と王子様】

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挨拶を交わしながら進んで行くと、前からスタイルの良い長身の男性が歩いて来るのが見えた。 白いシャツに黒のベスト、腰から同じく黒の長いエプロンを身に付けている。 あれは……、1Fにあるコーヒーショップの制服だ。 髪はイエローに近いブラウンで、トップにボリュームのあるウルフっぽい感じだけれど品があって見える。 歩き方も無駄がなくスマート。 「お疲れさまです」 「お疲れさまです」 すれ違い様に挨拶してみると、声も少し低めの甘い感じで見た目にピッタリ合っていた。 しっかりと合わせた目は色素の薄そうなブラウンの瞳で、鼻筋も通っていてシュッとした顎で……、とにかく綺麗な顔立ちだった。 まさに王子様、と言った感じ。 「あんな人いたかな……」 コーヒーショップは休憩時間によく利用するので、従業員さんの顔も大体覚えている。 でも、見覚えがないからきっと新人さんか応援の人?
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