第6章【お姫様の危機】

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スーツ姿の堀さんが私の隣を歩く。 私はこの業界が長いから、スーツ姿の人と並んで歩くなんて珍しくて新鮮だった。 「堀さんはお仕事もう大丈夫だったんですか?」 「はい、ちょうど帰るところだったので気にしないで下さい」 そう言われると何も言えない。 もう大丈夫ではあるけれど、やっぱり真っ暗な道で人が出てくるとビクッとしてしまうので、確かに堀さんがいてくれて良かったと思う。 「大丈夫ですか?」 「あ、はい、すみません」 「謝ることないですよ。森下店長は少し頑張り過ぎだと思います。恐かったら恐いって言ってもいいですし、そんなに我慢する必要ないです」 「……そうでしょうか?」 「店長としては十分過ぎる応対をされていますよ」 涙が込み上げてきてしまう。 私が1番言ってもらいたかった言葉を堀さんが優しい声色で言うもんだから……。
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