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モキュモキュモキュモキュ
「う……ここは?」
俺が目を覚ますと、真っ黒な天井が見えた。
「俺は確か……棺桶に閉じ込められて」
モキュモキュモキュモキュ
俺は床に横たわった状態で、周囲に目を向けた。
天井に床、壁もが全て真っ黒な色をしており、家具の類いは全くない。
そして、
モキュモキュモキュモキュ
「………………」
モキュモキュモキュモキュ
「………………」
モキュモキュモキュモキュ
「………………」
モキュモキュモキュモキュ
「………………」
モキュモキュモキュモキュ
「………………そろそろ降りろ」
俺は俺の腹に座りながらどら焼きを食べていたちびっ子に声をかけた。
俺、このちびっ子が座ってたから起きれなかったんだぜ。
モキュ?モキュモキュ
「普通に話せ。後、勝手にどら焼き食ってんじゃねぇ」
俺の腹に乗っていたちびっ子はどら焼きを食べながら俺から降りた。
「モキュモキュ……んくっ、プハー美味しかった♪」
「んで、ちびっ子。ここは何処だ」
俺はこの空間を指差してちびっ子に聞いた。
コイツは俺の知っている人間の雰囲気とは何かが違う。邪悪とも違う名状しがたき雰囲気を持っている。
「んー♪上から目線は気に食わないけど……どら焼き?のお礼に答えてあげるよ♪」
ちびっ子は地面から数十㎝浮き、俺と視線を合わせた。
「ここは■■■■。私たち邪神が存在する概念世界だよ♪」
ちびっ子――いや、邪神は不気味な笑みを携えながら、笑った。
「そして、私は全てのいかなる存在、■■の対になる邪神様だ♪!!!」
邪神は両腕を左右に広げながら、高らかに名乗った。
「…………それで、その邪神様が一般人のおれに俺に何をさせたいんだ?」
「何、簡単な話だよ♪異世界に渡って君がムカつく勇者、転生者を殺してくれればいいんだよ♪後は好きに生活してもオッケー♪」
「…………分かった」
さて、ここまでで違和感を感じた人はいるだろうか?
たかが、一般人ごときが邪神といっても神に直接会って、いきなりこんな事を言われたのにごちゃごちゃと騒ぎ立てる事もない。精神を狂わせる事もない。素直に言うことをきく。
はっきり言って、異常である。
「うんうん♪物分かりの良いのは邪神様大好きだよ♪っと言っても無理矢理理解させているんだけどね♪」
邪神様は邪悪な笑みを浮かべながら、無理矢理情報を頭に叩き込まれる痛みに耐える俺を見ていた。
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