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 現場から少し離れた場所。ジャングルジムの近くに大きな木が立っているのだが、その木に何かで削った様な跡がついている。自然に出来た物ではない。人為的につけられた傷だ。その跡は何だか下を向いた矢印のようだ。 「あの」  卒業生達を呼んで矢印を見せた。 「これ、何ですかね?」 「あっ、これって!」  と川藤が声を上げた。そして他の生徒達を大声で呼び寄せた。櫻井もおぼつかない足取りでこちらに向かって来る。その後ろから元担任教師の柴田秀子もやって来る。 「これ、目印!」 「え? ああ! そっか、こっちに変わったんだっけ」  目印。話の流れから察するに、多分タイムカプセルの在処を示すものだろう。  本来なら、今すぐにでもカプセルを掘り起こしたいだろう。しかし、今の彼等はきっとそうすることは出来ない。掘り起こす気が起こらないに違いない。犯罪が被害者以外の人間にも危害を及ぼす。彼等の喜びや楽しみも、事件によって殺されてしまったのだ。
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