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#2
2日後。俺は再び外に出た。行き先は勿論、幡ヶ谷康介の自宅だ。今週は仕事で忙しいと言っていたのでひと段落ついてからで良いと言ったのだが、事件捜査の方が先だと言って相手から日にちを指定して来た。それが連絡の2日後、つまり今日だった。その間に全ての仕事を終わらせると言っていた。
いつも通りエレベーターに乗って上へ移動。閉所恐怖症だったが、最近ずっとこのエレベーターを使っているせいか、自然とそれも和らいで来た。
目的の階に到着、幡ヶ谷の部屋まで向かう。ここまではいつもと同じ。だが、今日は珍しく鍵が開いていなかった。仕方無くインターホンを鳴らして来たことを知らせると、しかめっ面をした幡ヶ谷がわざと音を立ててドアを開けた。
「インターホンは鳴らすなと言わなかったか?」
「仕方無いだろ、鍵が開いてなかったんだからよ」
「そうか、それは済まない。で、資料は全て持って来たか?」
機械の様な謝罪だ。それにしてもコイツが習慣を忘れるとは。もしや幡ヶ谷、まだ仕事が片付いていないのではないか? それなら捜査をしている暇など無いだろうに。
「おい、お前仕事はどうした?」
俺が尋ねると、
「君が心配すべきは僕の仕事ではない。事件の方だ」
と返して来た。まぁ幡ヶ谷の仕事が終わっていようとなかろうと、俺が困ることはない。困るのはコイツだ。
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