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今日純達が集まった理由。それは、20年前に埋めたあるものを掘り起こすこと。生徒達の思い出や記録が詰まったもの、そう、タイムカプセルである。
本当ならあの日のメンバー全員で、懐かしい写真やヘタクソな自画像を見て笑い合いたかった。こうして友人達と思い出を共有出来ることは確かに嬉しいが、全32名の思い出をたったの7人で分かち合うのは、何だか勿体無い気がした。タイムカプセルを埋めたとき、志織は重い病気で長期間学校を休んでいた。そこで夕子が彼女の家を訪れ、彼女がカプセルに入れようとしていたものを預かって来たのだった。そのため志織はタイムカプセルが埋められた場面を見ていない。が、彼女の思い出は、確かに土の中に眠っている。
花壇は広く、様々な種類の草花が植えられている。敷地面積は校庭の3分の2といったところか。生徒達が自然から癒しを得られるように。そのような考えのもと、この花壇が造られたのだ。校庭とは違ってここの土は柔らかい。だからカプセルを埋めるのには持って来いだった。わざわざショベルカーを頼む必要も無いため経費も浮く。
「溝口、先に来てたりしてな」
「ええ? あ、そっか。溝口君、ドッキリ大好きだったもんね」
話題に上がっている人物、溝口利光は英太と同じようにいたずら好きな生徒だった。常に誰かを驚かせることばかり考えており、ときには英太と協力することもあった。
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