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 最初に聞いたのは2人の男性。真壁裕也、木戸英太と名乗った。 「いつまで待っても溝口が来ないから、俺が先に行こうって言って」 「連絡は何も無かったのですか? 先に行ってる、とか」 「ありません」  と、別の同窓生が答えた。先程まで別の刑事から聴取を受けていた男だ。名前は確か川藤純と答えていた筈。精悍な顔質の男性だ。喋りもハキハキしている。 「溝口が何処かに隠れて待ち伏せしてるんじゃないか、なんて話もしてたんです。彼、人を驚かせるのが好きだったから。でも、まさかこんなことになるなんて」  彼等も予想外だっただろう、溝口が遺体になって同窓生達を待ち伏せしていたとは。皆顔がやつれている。特に最初に発見した櫻井志織は今も震えが止まらず、目に涙を浮かべている。彼女はカプセルを埋めた場所を思い出し、松の木の周辺を探していた。だが彼女が見つけたのは目印ではなく、溝口の遺体だった。今彼女は必死に捜査員の質問に答えているが、後で話を聞くのは止した方が良さそうだ。
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