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そんな環境に大介は7年も耐え続けていた。
教師としては長い期間ではあるが
30年以上も勤務を続けている定年退職目前の古株達からしてみれば
7年なんてまだまだ『ひよっこ』にすぎなかった。
さらにめんどくさいことに、
団塊の世代にあたる古株教師は
『再雇用』という名の『ほぼ終身雇用』を利用し、
長年、教師としての立場を保ち続けたことで築き上げた余分なプライドと
常に古めかしい思考が基盤であり、
それが生徒に対しても、教員に対しても
桜ヶ丘学院全体の規則の中心になるのであった。
『年功序列』が絶対であり、
新人教師がどんなに難関大学を卒業していても、
何人の生徒を難関大学に進学させた業績を持とうとも、
彼らに逆らうような発言や行動を許されず、
給料も業績や能力を無視した金額しか渡されない。
その体制があるせいか
20代や30代の若手と呼ばれる教師の中には
出来る限りこの職場を離れられるように
裏では『転職活動』に燃える者もいる。
大介の同僚も
2、3年勤めて辞めた。
彼は桜ヶ丘学院を退職後、
教員の資格を使わずに一般企業のサラリーマンになったと聞いている。
桜ヶ丘学院は優秀な学校として知名度がある反面、
ブラック企業のような職場だということは、働いてから気付いた。
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