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「あーあ……こぼれてるよ床に」
「ご、ごめん!びっくりしちゃって……」
慌てて雑巾を持ってきて床を拭くけれど……頭がまだ、混乱している。
「まだ決まったわけじゃないらしいけどね。姉ちゃんが結婚したら、俺もするかもって言ってたんだよ」
「……そうなんだ」
「確か2年くらい付き合ってるしね類と未来ちゃん。まぁ未来ちゃんの方が類にベタ惚れな感じだけど、うまくいってるみたいだよ」
「……良かったね」
どうしてこんなに動揺しなくちゃいけないの。
ていうか、あり得ない。
結婚するなら、どうして私にキスなんてしたの。
どうしてキスなんて。
「どうした?姉ちゃん」
「……何でもない」
でもこんな事、また誰にも言えない。
親友にさえ、類にキスされたなんて、言えない。
……だって彼は、イトコだから。
「飲むよ、豪」
もう、忘れよう。
今日の事は全部、忘れよう。
全部忘れて、明日からまた頑張るんだ。
だけど、恋はもうしたくない。
誰かを好きになったって、また傷つくなら。
それならもう恋なんてしない方が、いい。
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