失恋で泣いた夜

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よくドラマやマンガで見る設定。 誕生日に、そろそろプロポーズされると期待していた矢先に突然失恋してしまう。 だけどそんな話、実際にはないでしょと思っていた。 付き合っている彼女の、誕生日という特別な日に別れを告げるなんて、そんな残酷な事をする男がいるはずないって。 だけど本当に、そんな最低で残酷な男はいたんだ。 しかも、今、私の目の前に。 「……ごめん、莉菜。別れてほしいんだ」 今日彼は珍しく私の職場の近くまで迎えに来てくれて、今から誕生日ディナーに行くんだと思っていた矢先の一言だった。 「……嘘でしょ?」 「嘘でこんな事、言うはずないだろ」 そんな真面目な顔で、そんな傷つく事言わないでほしい。 だって私達は、うまくいっていると思っていた。 私は今日で29歳。 彼は32歳。 約4年間の交際。   結婚してほしいって、言われるんだと信じていた。 「どうして?どうして別れるなんて……」 「ずっと考えてたんだ。俺はもう、結構前から冷めてたんだよ」 ずっとって、いつ? 結構前って、いつから? 言葉にしたいのに、言葉にならない。
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