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「莉菜は俺より、仕事の方が大事だろ」
……どうして今更そんな事言うの。
彼は付き合い始めた頃、よく言っていた。
仕事を頑張る私が好きだって。
私の仕事はネイリストで。
2年前に独立したとき、誰よりも私を応援してくれたのは彼だった。
そう、勝手に思っていた。
「仕事は大事だよ。でも瑛祐より大事とかそういう事じゃなくて……」
「もう疲れたんだよ。俺達休みだって殆ど合わないし、俺が連絡しなかったら莉菜から連絡くれる事なんてなかっただろ」
「そんな事ない……」
必死で彼の心を繋ぎ止めたくてすがる私は、滑稽かもしれない。
でもそんな事、気にしてなんていられなかった。
「俺に必要なのは莉菜じゃない。莉菜に必要なのも、俺じゃないんだよ」
「……そんな事、勝手に決めないでよ……」
私には瑛祐しかいない。
こんなにも瑛祐を必要としているのに。
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