◆ 9 ◆(2)

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「それからなんだよね。本気でオウジのことが気になり始めたのは」 エミは、昔のアルバムを一枚一枚めくるように ゆっくりと丁寧にオウジとの慣れ染めを離した。 「外見ではなく内面をしっかり見られる人なんですね。素敵な方だ」 牧野さんがそう言うと、少し首をひねってからエミが答えた。 「私も最初はそう思ってたんだけどね。ちょっと違ったみたい」 グラスに残った液体を少しだけくるっと回すと、エミは続けた。 「外見に興味がないのは本当。でも彼、他人の外見だけじゃなくて、そもそも他人に興味がなかったのよね」 「それでも彼のことが好きだったんですね」 「惚れたもんの弱みよねー。彼が、私にも誰にも興味がないってことに気付いちゃったんだけど、その時にはもう手遅れなくらい好きになっちゃってたのよ」 エミが、頬を少し赤らめ、少女のような顔で言った。
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