プロローグ

3/5

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
レイスは、ロンドンの中心街を抜けて森が広がる古い道をひたすら歩く。 暫く歩くと、古ぼけ寂れた教会に着いた。 聖・マリア教会。 レイスが半年前に来るまで、長年に渡って放置されていた廃教会だった。 今は…… 「おはよう、ルシア」 教会のドアを開け、レイスは中に入ると礼拝堂の中を掃除していた神父に挨拶する。 神父はレイスに気付くと、屈託無く笑って挨拶を返した。 黒髪で腰まである長い髪を一つに結わえ、黒い神父服を着た青年。 ルシア・ウィーク・ローティド。 ガバッ 「く~!!いつもレイスは可愛いな!!」 「メイド服や裸エプロンも似合うけど……」 「やっぱりシスター服が一番似合う!!」 「この格好で喘がせたら……ちょー可愛いんだろうな!!」 ルシアはレイスを抱き締めると、頭を撫でまくり嬉しそうに笑って次から次へと…… 恥ずかしい言葉を並べて行く始末…… 「ちょっ……ちょっと……ルシア……」 レイスは恥ずかしくて顔を赤らめ、ルシアに困り果てる。 「白き光よ。神の名の元に邪を祓いたまえ」 「ホーリー・インパクト(光の衝撃)」 不意にレイスの後ろから声が聞こえたかと思えば…… 「グホッ!!」 ルシアの腹部に光の衝撃波が現れ…… そのままルシアは後方の壁に吹っ飛んだ。 「……全く、相変わらずルシアは朝からはしたない事を……」 「貴方の趣味に、レイスを巻き込ませるのは辞めて頂きたい」 礼拝堂の二階から、もう一人の神父が降りてくると溜め息をつく。 白髪で、腰まである長い髪をポニテールにし、白い神父服を着た青年。 ミカル・ウィーク・ローティド。 二人は一卵性の双子兄弟であると共に、この聖・マリア教会の神父でありレイスの育ての親だ。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加