プロローグ

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「ミカル!!てめぇ!!実の兄貴に何しやがる!!」 吹っ飛ばされたルシアは、立ち上がれば物凄い勢いでミカルに掴みかかる。 「何をって?私は当然の制裁を与えただけですが?」 しれっとした顔をして、ミカルは涼しげにルシアにこたえた。 ……また始まった…… レイスは片手で顔を覆い、溜め息をついた。 「あーもう!!今日と言う今日は我慢ならねぇ!!」 「奇遇だな。実は私も我慢の限界なんだ」 ルシアは黒い魔力を纏い、右手に黒い衝撃波を出現させる。 ミカルはクスリと笑い、白い魔力を纏うと左手に白い衝撃波を出現させる。 実は、彼等二人は人間ではない。 ミカルは天使で、ルシアは悪魔。 レイスと契約した使い魔だ。 「どうでもいいけど……家壊さないでよね?」 レイスは溜め息をつくと、派手な兄弟喧嘩を始めた二人に言う。 「大丈夫だ!結界ならちゃんと張っているからな!!」 「私も教会全体に張っているので、全く問題ありませんよ」 レイスに答えながら、ルシアとミカルは次々に衝撃波を放っては攻撃し続けている。 「……それなら良いよ。僕はお腹空いたから朝ご飯作って来るね」 呆れた顔をしてレイスは二人に言うと、背を向けキッチンへと向かうのだった。 過去の因縁かどうかは分からないが、すこぶる二人の仲は悪い。 今は、主であるレイスを取り合い仲の悪さに拍車が掛かっているかも知れないが……
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