第1話囚われた者達の苦痛Ⅰ

3/7
前へ
/222ページ
次へ
「で?どうする?」 ルシアはミカルに振り返ると、首を傾け尋ねた。 「どうするも何も……内部へ直接侵入しなければいけないだろ」 「仲間の手掛かりを掴むためにも……今宵、潜入する」 ミカルは真面目な顔をしてルシアにこたえた。 「了解」 ルシアはクスッと笑ってミカルに頷く。 一方、大聖堂の中では…… 「……あんたも……とんだ偽善者だな?」 「強盗貴族殺しの犯人が……聖職者気取りなんて……面白いね」 ルガーの隣に、黒い角を持ち、頭がうし、体が人の姿をした悪魔と…… 橙色の髪で短髪、純白の服を着た美しい天使が姿を現した。 悪魔はゼアル。天使はベーゼ。 ルガーと契約した悪魔と天使で、……その力は封じられ……大聖堂からも出られず囚われている。 「つべこべ言うな。私は表向き……親切な司祭様なんだ」 「たとえ、裏では……どんなに罪を重ねていてもな……」 ルガーは不敵な笑みを浮かべ、二人に言うと前に歩きだす。 「私の大切なコレクションの様子はどうだ?」 ふと立ち止まると、振り返って二人に尋ねた。 「俺達にも抱かれて、相変わらず可愛い声で鳴いてるぜ……」 「本当、まさか……最高位の天使を抱けるなんて思わなかったよ」 無表情でゼアルとベーゼはルガーにこたえた。 「そうか、そうか。だが、お前達だけ楽しむのはズルい」 「私も楽しませて貰おう」 ルガーは、不気味な笑みを浮かべると…… 通路脇にある隠し階段から地下へゆっくりと降りていく。 「しかし、あんなオヤジに犯されるなんて……」 「あの方達や僕達も……屈辱的だよ」 ゼアルは牛の頭から、一瞬で端正な顔立ちの青年の顔になると…… ベーゼを抱き締め、ねっとりと舌を絡ませ口付けをする。 「自由が欲しいよ……」 「俺もだ……」 ベーゼは涙を流し、ゼアルは舌でベーゼの涙を舐めながら拭う。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加