敬語の男

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「…いらっしゃいませ」 …そのお店の中は思っていたよりも広くて。 …意外とオシャレで静かな空間だった。 まぁ、広いって言ってもカウンターにテーブル席がいくつかあるくらいだけど。 マスターは30代後半くらいの少し見た目怖そうな男性。 BGMは聞いていて心地のいいジャズ。 …とりあえず私は1人だから、誰もいないカウンターに座る。 「…何にします?」 「じゃあ適当に美味しそうなカクテルと、お腹空いてるんで何か食べたいんですけど」 「わかりました」 そのマスターは本当にちゃちゃっとホワイトソースのパスタと、桜色のカクテルを作って出してくれた。 …しかもそのパスタ、めちゃくちゃ美味しくて。 「…これ、美味しい」 「うちのオリジナルです」 ……ヤバイ、私ここ通っちゃうかも。 なんて思いながら、パスタを完食して。 その後は1人でたまにマスターと喋りながらカクテルを楽しんでいた。 …そして。 …そろそろ帰ろうかな。 …と、思ったそのときだった。
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