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「あら雪…お帰り。何突っ立ってるのよこんな所で。何かあったの?」
「……何でもない。ただいま」
…母の登場で少しだけ気持ちが落ち着き、2階の自分の部屋へ直行する。
部屋に入り、今日自分が言った事を1つ1つ思い出す。
…だけど、自分が言った言葉よりも。
…次々と思い出すのは、今日一緒にお酒を飲んだ彼の言葉。
…少しだけ微笑んだ、彼の表情。
そればかりが、私の頭の中を駆け巡る。
「…あ……」
…番号だけじゃなくて、メールのアドレスも書いておけばよかった。
…なんて思ってしまっている私。
たった2回、2人で飲んだだけなのに。
たった数時間を、一緒に共有しただけなのに。
彼の事なんて、まだ何も知らないのに。
…彼は私に好意なんて、一切ないってわかっているのに。
……彼は私が求めている恋人の条件とは、かけ離れているのに。
「……どうしよう……」
……私はきっと、あの人に惹かれている。
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