狗神呪魂

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 私は大学の夏休みを利用して、今日から一週間ほど地方へとアルバイトをする事にした。  ちょうど財布の中身が寂しくなっていて、折角の夏休みをどう過ごすかと悩んでいた時に、とあるアルバイト募集のチラシを見たのがきっかけだ。  作業の内容は詳しく書かれてないが、アルバイト先が画廊であるからただの店番だろうと思う。  何故わざわざ画廊を選んだかというと、単純に収入が良いからだ。  食事有り泊まり込みで十五万円。  うまい話には裏があるとよく言うが、犯罪に手を染めるのであれば断ればいいだけだ。 「ごめんください」  画廊にしては珍しい立派な屋敷造りの店の暖簾をくぐり、私は声を掛けた。 「どなたかな?」  人懐こい顔をしたオジサンが奥から顔を出した。この人が店主の岡田さんだろう。 「笹木です。先日お電話でーー」 「ああ、アルバイトの笹木君だね」 「ええ。よろしくお願いします」
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