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この微妙な空気を、何とかしたい――
それぞれ好きなコーヒーを頼み、席についたのだが。鎌田さんから放たれる威圧感に耐えながら、言葉を選んでる俺。←年上のクセに情けない
そんな鎌田さんに、挑むような視線を送る蓮――まさに水と油、気が合いそうにない。
そして油な鎌田さんに火をつけそうな意見を言う彼女も、結構厄介な存在と思われる。
早く、家に帰りたい……
「ここのコーヒーショップで、山田と彼女は出会ったんです」
コーヒーを一口飲んだ、鎌田さんが話し出した。
「大学時代彼女に一目惚れした山田が、足しげく通って恋を成就させ、現在に至る」
「随分、はしょったわね」
「アイツの話は、ムダに長いんだ。いちいち説明する必要性はない」
「でも鎌田先輩みたいに、ずっと片想いしてたワケじゃないんですね。すごいなぁ」
「へぇムダに、片想いしてたんだ。すごいなぁ」
「きっ、君はアイツに俺の情報を、うっかりと与えるんじゃない(怒)」
――3人のやり取りに、おじさん口を挟めません。
「話を変えます。これを見て下さい」
不機嫌丸出しの顔をしたまま、鎌田さんが手に持っていた携帯を見せてくれる。そこに写し出されてたのは、山田くんと蓮が並んで歩いている写真。
「随分と楽しそうに、腕を絡めて歩いてますね?」
チラッと横目で隣にいる蓮を見たら、しまったと顔に書いてあるじゃないか。
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