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「まったく、思慮が浅いです」
「だってぇ、年上の女性が苦手だって、聞いていたものだから」
「私は年上の彼女に山田がとられるのがイヤで、写真を送ったんだと思ったわ」
言いながら例の紙を目の前に、ばばんと突きつける。
「蓮っ!? それは、いけないっ!」
紙を取り上げようとした刹那、一瞬早く鎌田さんの手によって握られてしまった。
俺は、顔を片手で押さえるしかない。かなぁり、ヤバいですよ。これは……
「こ……これは一体」
「あら、鎌田先輩の自然な笑顔、これ欲しいです」
「は!?」
今度は、鎌田さんと蓮の声がシンクロした。
「君はこれを貰って、どうするつもりなんですか?」
「部屋に貼ってあるバンドのポスターの隣に、貼ろうと思いますけど、何か?」
「……友人が自宅に来たら、どう説明するんです?」
顔を引きつらせながら彼女に聞く鎌田さんに、心の中でお疲れと囁いた俺。
個性的な彼女をもつと、彼氏は苦労します。
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