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――会長に見られたらっ!?
焦る俺を他所に、深く唇を合わせてくれる。嬉しいんだけど、正直困ります(汗)
「えへへ。マットが奥手だから、私が襲っちゃった」
照れながら俺の体に、腕を回して抱き締めてきた。そんな小さな体を、俺も抱き締め返してあげる。
「ホントは、奥手じゃないですよ」
「知ってる。じゃないと鍵がかからない会議室で、あんな事しないよね」
「何だか、離れがたいです」
「私もだよ」
お互い視線を合わせると、どちらともなく唇を合わせた。
「……いい加減にしないと、ダメですね」
思い切って腕を離すと、その腕を蓮が掴む。
「マット、山田くんの事が一段落ついたら一緒に、旅行出掛けない? 泊まりがけで、さ」
「蓮……?」
「私、1日マットを独占したいんだけど、そういうのイヤかな?」
そっと彼女の柔らかい頬を、右手でそっと撫でた。温かいぬくもりが、てのひらにじわりと伝わってくる。
「蓮が望むのなら、行きましょうか」
「有り難うマット! おやすみなさいっ」
俺の腕を勢いよく離してから、家の中に入って行った。まるで寂しい気持ちを、断ち切るかのように。
別れ際に何故だか、生暖かい風が吹く夜だった。
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