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――いつも私はひとりきり――ホントの私を好きになってくれる人は、この世の中にいるんだろうか?
私のパパとママは、駆け落ちをして私を生んだ。パパが執事をしていたお屋敷でお嬢様だったママと、恋に落ちたから。
質素な三人暮らしだったけど幸せだった、今よりずっとマシ。とても仲がいいふたりが、私の自慢だったんだ。将来こんな夫婦になりたいって、いつも思ってた。
なのに小学六年生の秋、私を置いてふたりは突然亡くなってしまった。自動車事故で――
身内はママのお父さん……つまりはおじいちゃんが、私を引き取る事になった。
娘を奪った男との子供という目で見られるのではと、はじめはビクビクしていたけど、そんな事はまったくなく、むしろものすごく可愛がってくれた。
それまでの生活が、がらりと一変した。通ってた小学校の友達とお別れして、有名私立の小学校に通う事になったから。周りが優秀過ぎて、自分がダメ人間だと勝手に落ち込んでた。
でも子供の順応力で落ちこぼれながらも、楽しい学生生活を送った。周りの人達の打算的な考え方を学びながら、上手く順応していった私も見事、歪んだ人間になっちゃったけどね。
昔の私が今の私を見たら、きっと蔑むんだろうな。今の私は、ありえなくらい最低だ――
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