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「ちょっ……何よ、それ!?」
次の日のお昼にマットから山田くんが彼女と別れた話を聞いて、私は憤慨した。
「私と歩いてるのがきっかけって、すっごく後味、悪すぎるじゃない……」
「俺も、見合い話を彼に頼んでいたから、同じく心が痛いです」
ふたりして激しく、ずーんと落ち込んだ。
「ねえ、何とか出来ないのかな?」
マットの肩を掴んで、ゆさゆさと揺さぶってみた。
「このままじゃ安心して、マットと幸せになれないよ」
だけどむむっと唸ったまま、考えこんでいるマット。ダメだ、使えそうにない……残念ながら私も使えない人間、その2だけどさ。使えそうな人間――どこかにいないかな?
「そうだっ! 山田くんの彼氏っ!!」
「はい?」
私は鞄から、とある紙をマットに、じゃーんと見せつけた。
「マット、この人が山田くんの彼氏なんだよ」
「Y田さん、イケメンに迫られて超赤面! 合コンで彼氏発見なるか!? 何ですか、このスクープって」
「だいぶ前に山田くんが企画した、合コンの時に撮したの。そのメガネの人が、山田くんの彼氏になるかもしれないっていう話なんだけどね」
マットは、手渡した紙をじっと見て、何かを思い出したらしい。
「この人……取引先の鎌田さんじゃないか。確か、山田くんと幼馴染みだったはず」
「その人に聞けば、何か分かるかもよ?」
私がえらく興奮して言うと、
「ちなみに蓮、このスクープを何のために、使用したんだい?」
触れてほしくないトコを、必ず突いてくるマット。貴方の行動を知るために、山田くんを脅した道具だと言えるはずがない。
「目をそらして、知らんぷりしても駄目ですよ。さぁ俺の目を見て、きちんと言ってください!」
クソ真面目な彼氏をもつと、腹黒い彼女はとっても苦労します――
かくて私が吐露するまで会議室が取調室に変わり、キッチリと取り調べされました。
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