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げっそり――あの後ねっこり、お説教された私。当然なんだけども……
「いくら俺の情報を手に入れたいからとはいえ、こんなモノを使って山田くんを恐喝するとは、言語道断ですっ!」
「だって……マットが見つからなくて、焦ったんだもん」
しょんぼりして言っても、マットの怒りは収まらない。
――チッ、奥の手を使うか。
ふぬっと目頭に神経集中。頑張るコト10秒で涙を溜めると、上目遣いでマットを見た。
ちょっとたじたじとなったのを、しっかり確認してから、マットの左腕を自分の胸の谷間に、しっかりと埋もれるようにして、ぎゅっと腕を絡める。
「マットの事が好きだから、どうしても知りたかったの」
うるうる、ムギュムギュ作戦。
「蓮……////」
「ごめんなさい……」
「――って、こんな安い手に引っ掛かりませんよ」
シュッと腕を引き抜くと、私のオデコに痛いデコピンをしてくれた。
「痛いっ!」
「まったく反省してませんね、困った彼女です」
困ったとか言いながら、何故だか楽しそうなマット。
「お仕置きはこれくらいにして、さてどうしますかね」
「会いに行こうよ。近くなんだし」
「……君は置いて行きますから」
サックリ言ってくれたけど、私の記憶力は半端ないんだよ。
「あのねマット、次は連れて行きますと前回、しっかりと断言したのに、どうしてそんな事を私に言えるのかな」
その言葉に、ウッと言葉に詰まる。何で、連れて行きたくないんだろ?
「だって……蓮が、好きそうな感じの男だから」
「大丈夫だよ、安心して。私、その人にめっちゃ嫌われてるから」
「彼に、何をしたんですか?」
「何もしてないよ。多分、生理的に受け付けないだけじゃないのかな」
そう言っても疑惑の眼差しで、マットは私を見るのだった。
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