FF~フォルテシモ~:救愛

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***  彼女とふたりで待ち合わせして、帰るのは今回が2度目。少し早めに退社し、鎌田さんがいる会社に向かう。 「蓮の今日の私服は、何だかちょっと肌の露出が多くないですか?」 「マットはこういうの嫌い? 朝から暑かったし、コレにしちゃったんだよね」  季節は6月下旬だから、多少暑いのは分かる。でも体のラインが見える服は、あまり着てほしくない。おじさんの気持ちは複雑であるが、彼女はまったく理解してくれないだろう。 「好きか嫌いか聞かれると、個人的に好きですが、他の人に蓮の体を見られるのは、好きじゃないです」  照れながら言うと俺の顔をじっと見て、腕を絡めてきた。 「分かった。今度から気を付けるね。お説教は、もうこりごりだし」 「……反省してないくせに」 「怒ってるマットも、結構素敵だったよ」    まったく手に負えないとは、この事だ―― 「ほら会社前ですから、腕を離して下さい」  一緒に並んで、会社の受付に向かった。
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