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彼女とふたりで待ち合わせして、帰るのは今回が2度目。少し早めに退社し、鎌田さんがいる会社に向かう。
「蓮の今日の私服は、何だかちょっと肌の露出が多くないですか?」
「マットはこういうの嫌い? 朝から暑かったし、コレにしちゃったんだよね」
季節は6月下旬だから、多少暑いのは分かる。でも体のラインが見える服は、あまり着てほしくない。おじさんの気持ちは複雑であるが、彼女はまったく理解してくれないだろう。
「好きか嫌いか聞かれると、個人的に好きですが、他の人に蓮の体を見られるのは、好きじゃないです」
照れながら言うと俺の顔をじっと見て、腕を絡めてきた。
「分かった。今度から気を付けるね。お説教は、もうこりごりだし」
「……反省してないくせに」
「怒ってるマットも、結構素敵だったよ」
まったく手に負えないとは、この事だ――
「ほら会社前ですから、腕を離して下さい」
一緒に並んで、会社の受付に向かった。
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