~序章~

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バカな子程可愛い、なんて人間の言葉であるけれど 「大死さまぁ~、聞いて聞いて??おいら死神になったんだ」 昔からバカみたいに付きまとってきたこのバカな子を見ると、 「まあ、当然ですね。私の役に立ってくれるんでしょ?」 「はい??宜しくお願いします。」 可愛いと思ってしまうもので、人間も私達のような者もそう大差はないのだと思えてくる。 けれど、 「大死さま、おいら手帳失くしちゃった…」 だとか、 「人間に手帳にリストにない人物を書かれちゃった」 だとか、本当にこのバカな子はバカだ。 わかっているんだろうか… この子の言ったことを間に受けて、私が立派な死神になって右腕として頑張って欲しいと思っていること。 本人は、忘れているかもしれないですね 「と、言う訳で次はその人間の魂を導いて下さい。」 早く立派な死神になりなさい。 そうすれば、貴方の事をごちゃごちゃと言う輩が減るんですから。 「はあ、鬱陶しい…」 人間も死神も私のような者も、どうして優れているものが全てなのでしょうね 鬱陶しい… 「あっ、あの大死さま…何が鬱陶しいんですか?」 「貴方は知らなくて良いことです。」 私の事に構っていないで、ミスなく仕事をして立派になりなさい 本当にこの子はバカなんですから。 「413号、下がっていいです」 「はっ、はい」 どうして皆、この子の魅力に気付かないのでしょうね。 「413号」 「はい!?」 こんなに、バカみたいに真っ直ぐで純粋な子なのに。 「いいですね、何があろうと人間の情に流されてはいけませんよ」 「は、はい」 何処の世界もバカばかりで嫌になる。 「ふふふ」 ……。 ドアの向こうから聞こえる小さな笑い声。 「聞こえていますよ、413号」 けれど、そんな所も可愛いと思ってしまう親心にも似たこの思い。 あの子なら、私の後を託せる気がするんです。 「期待していますからね」 目を閉じたままの瞼の裏で、あの子の笑顔が浮かんできた。 .
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