……その魔王と戦った時、ワタシは23歳だった。

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「ところで」  エディフィスはもともと低かった腰をさらに落としてワタシに言ってきたわ。 「もしも爆薬の類のものを持っていたら、お恵みいただけませんか? 手持ちの分だけでは足りない上に、町の店では売り切れていたのです。それで先ほど大まかに計算してみたのですが、足りそうにないのです。ほんの少しでいいのです」  ……まあ、買占めたのワタシだったし。さすがに罪悪感あったからね、作ってきた爆弾を4,5個分けてあげたの。そうすればいたく喜んでたわ。 「ありがとうございます! あなたにどうかご武運がありますように!」  エディフィスに見送られて、ワタシは城の中に入った。――入った直後のところに落とし穴が出来てて、落っこちてワタシは死んだわ。1回目に言った時は無かったのよ。油断してたわね。  落とし穴の底には棘があったの。エディフィスがワタシと一緒に行くなんて言ってたら、取り返しのつかないことになってたわ。  ――で、針の太さは髪の毛よりは太かったけど、荷造り紐よりは細かったかしら。そんな針が穴の底一面に立ってるの。だから針は体中に刺さったわ。口の中も目の中もお腹も太腿も針で串刺しにされて突き抜けて――はいはい。痛い話はやめますよ。  生き返ったのはやっぱり、自分の部屋だった。ワタシは金庫からいくつかの爆弾を持って魔王城に急いだわ。ひょっとしたら、エディフィスが城を爆破してるかもしれないと思ったから。  ……ワタシはどうして城を爆破しなかったかって? あんたね、その時のワタシがそんなに冷静でいられたと思う? ……すぐに納得されるのも腹立つんですけど? 「やばいやばいやばいやばい」  ワタシの頭の中はその言葉の繰り返し。息を切らしながら城に向かったわ。城の外ではエディフィスが地面に何か書いてたわ。声をかけても混乱するだろうから気付かれないように城の裏手に回って、壁を爆破してやろうと思ったの。  爆発って、怖いわよ。そこにあったものが一瞬で粉々になるの。今まで積み重ねてきたものなんかお構いなしにね。城の壁もそうやって崩れたわ。
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