……その魔王と戦った時、ワタシは23歳だった。

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「さて、せっかく来ていただいたのですからあなたにはもう1つのとっておきを紹介しましょう」  インヴェンションはワタシに黒い筒を向けたかと思うと、そこから弾丸がものすごい速さで飛んできて、ワタシのこめかみを掠めたわ。血も少し出てた。さっきワタシから爆弾を弾き落としたのと同じ武器なんでしょうね。 「これは魔動銃というもので、私が作りました」  黒い筒をワタシに向けながら、また講釈を始めたわ。 「この筒の中には特製のバネが入っていて、ごく微量の魔力で伸縮します。その反発力を利用して専用の弾丸を飛ばし、相手を攻撃できるのです。どうです? 良いでしょう。普段なら1発で胸を貫いているのですが、今ならもう1つおまけで頭にも差し上げましょう」  そう言われると怖くなってさ、また爆弾を何個か投げたわ。詳しい数は覚えてないなあ、多分イッパイイッパイになってたんでしょうね。でも爆煙が目くらましになって時間稼ぎにはなった。  その時ワタシの頭はフル回転したわ。どうしてさっきのインヴェンションはあんなに焦っていたのか。その理由が分かれば勝利の糸口も見える。  部屋を見渡すとよくわからない色んな色の液体だったり、分厚い本だったり、束ねてまとめられた紙とか、そんなものばっかりだった。なにかすごい武器がおいてたのかもしれないけど使い方はさっぱりわからなかったから役に立たないだろうし、そうこうやってる間にまた弾丸がワタシに向かって飛んできた。左肩に命中して、すごく痛かった。 「次がおまけの1発になります」  煙から出てきたそいつの事なんか、ワタシは全然見てなかった。部屋にあるものばっかり見て逆転の一手を考えてたのよ。  それで、最後に目に入ったのが壺。それは大きくて、ワタシが3人くらい入る大きさだった。――あの緑色の液体生命が入ってた壺ね。
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