……その魔王と戦った時、ワタシは23歳だった。

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 見つけた時はこれだ! って思った。だって魔王が焦ってた時はワタシはあの壺の真上で爆弾握ってたんだからね。 だからワタシは持ってた全部の爆弾をその壺に向かって投げた。 ……その壺を壊して魔王が死ぬと思ってたのかって? 思ってたわよ。悪い?  あのね、死ぬかどうかの瀬戸際なのよ? 冷静に考える時間なんかあるわけないでしょ? 勘違いしてたら困るから言っとくけど、不死身だから死んでもイイや、なんて思えるほどワタシはいい加減じゃないの。死ぬのは怖いのよ、一回死んじゃえばいい思い出だけど、望んで死にたくはないの。  とにかく、ワタシのありったけの爆弾は、まっすぐに壺まで飛んで行って、―― 「どかん!」  あはは、びっくりした?  魔王だってさっきのあなたと同じ表情をしてたわ。それから「あ、あ、ああ」って呻いて壺に駆け寄った。  壺には大きな穴が開いた。そこから緑色の粘液がどろりどろりと零れ落ちてた。 「貴様、自分が何をしたのか、分かっているのか?」  インヴェンションの声は震えてたわ。 「この液体生命は、この壺を除き、ありとあらゆるモノを溶かしてしまうのだぞ? ……この大地や、私のこのローブでさえもだ!」  その言葉の通り、液体生命……長いから縮めてエキメイと呼ぶことにしようか――エキメイは床を溶かしてた。しゅうーって音を立ててね。  インヴェンションは震えながらその光景を見てた。音がしなかったら、エキメイが城に沈んでいくようにも見えたかもしれない。城を溶かすエキメイはだれにも止められなかった。だからインヴェンションは見ているだけだったんだろうね。  ……ひょっとしたら、エキメイは今も大地を溶かしながら、どんどん沈んで行ってるのかもしれない。いつか知能を得て再び地上に……なんてね。  で、その光景を見る事しかできなかったインヴェンションをワタシは、後ろからどんっ! て思い切り押してやった。爆弾ももう全部投げちゃったからね。――卑怯? ほめ言葉として受け取っておくわ。
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