……その魔王と戦った時、ワタシは23歳だった。

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 そりゃ、ショックだったわよ。あの時落とし穴にさえ落ちなかったら、あるいは賞金を貰えたのかもしれないもの。お腹に穴が開いてるのも手伝って、死にそうになったわ。  ……でもやることはほとんどもう決まってたわ。爆薬屋さんに行ってベルトに挟まってた「特別」を売って、そのお金で食べ物とお酒をたくさん買って、浴びるように食べた。  安いモノばっかりたくさん買ったから、全然美味しくなかったけどね。お腹は膨れたわ。でも涙がぼろぼろ出てきて、最後は声出して泣いたわ。  その時に、もう勇者辞めようって決心した。マメになって商人になろうって思った。そうでなければ、しんどいのを我慢して地道に農民をやるとも思った。それで最後には結婚して、平和に暮らすことにしたわ。……あんたも知っての通り、その後も勇者を続けることになるんだけどね。  ――という訳で、ワタシが勇者だった時のお話でした。続き? 疲れたからまた今度ね。何か訊きたい事があるなら答えるけど。  ……エディフィスはどうして魔王に気付かれることなく城を爆破までもっていったのかって?  多分だけど、ワタシが魔王城のなかで色々してたから、インヴェンションは城の中に警備を集めたんでしょうね。そうでなければ、自分の城が壊されるなんて夢にも思ってなかったんじゃない?  ……インヴェンションは強かったか? まあ強かった方じゃない?  でももっと強い奴もいた。アーミー、ファンタズマゴリック、マシナリイ、最強魔王にフォートレス。まあ続きを話すってなったらそいつらの事になるでしょうね。  ……ずっと1人で旅してたか? いやいや。仲間も出来たわよ。それについてもまたの機会にさせて頂戴。
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