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……でも不死身っていうのはどうなのかしらね。ワタシは死んじゃうから正確な表現じゃないわ。「死んでもすぐ生き返る」って言う意味の熟語知らない? ――知らないならいいや、不死身ってことにしといて。
いつから不死身だったか? さあ、いつかしら。ワタシが不死身だって自覚したのは小さなころだった。友達と外を走り回っていたとき、転んで頭を打って死んだの。そして生き返った。
その時ときたらもう、息が少しずつ詰まって苦しくなるわどんどん視界がぼやけていくわで最後には全く息が出来なくって苦しいまま真っ暗な中にいて一人孤独で寂しい状態で死んでいくの。怖かったわ。
それをなんとなく、友達に言ってみたの。
「こけた時って息が少しずつ詰まって苦しくなるわどんどん視界がぼやけていくわで最後には全く息が出来なくって苦しいまま真っ暗な中にいて一人孤独で寂しいよね」って。
そしたら「あんたこけるたびに死線でもくぐってんの?」って帰ってきたわ。その言葉がなかったら、ワタシは自分が不死身だって気付くのにもっと時間かかったでしょうね。
それから色々あって、自分が不死身だって確信した時にワタシは勇者になることにした。今はもうないけど、各地にいた魔王を討伐すれば大金がもらえたの。加えてワタシは不死身。勇者って、まさにワタシの為に作られたような職業だと思ってた。
……学び舎で習ったでしょ? 隣国ヘリーディルが侵略の為に沢山の戦士を送り込んできたって。その戦士はみんな「魔王」を名乗ったのよ。
話を戻すわね。ワタシは勇者になるってことを父親に相談して、こう言われたわ。
「それなら、武術を学ばないとな」
ワタシの答えはこうだった。
「やだ」
何でかって? だって武術って筋肉つけないとだめじゃない。そんなゴリモリな体つきには死んでもなりたくなかった。そんな体にならないために、ワタシは爆弾を武器にすることにした。それなら投げるだけだし、攻撃力だって高いしね。
その代わり作るのが大変だった。1番苦労したのは着火装置ね。簡単に着火できて、それで投げるまでの間爆発しないようにする仕組みを作るのが大変だった。1つ作れば後は楽だったけど、その1つを作るまでに8回死んだわ。
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