……その魔王と戦った時、ワタシは23歳だった。

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 で、その爆弾を見せたら父親も納得してくれて、それからワタシは旅立ったの。20を超えるか超えないかくらいだったかと思うわ。……それとも15,6の時だったかしら? なにせ「いってきます」、「はいよ行ってらっしゃい」、ってな感じで旅立ったから、正確な歳は忘れちゃった。  ――いい加減? 生まれた時から言われてたわよ。でもそのいい加減さがなかったら今の平和は無い。そうでしょ? ワタシのいい加減さに感謝されこそすれ批判される覚えはないわ。  まあでも、当時は自分のいい加減さを呪ったわね。ほんとに呪った。死なないけど痛みは感じるし、恐怖だってある。それに……何かあったっけ? まあいいや。  旅立ってから2か月後くらいに、ワタシは初めて魔王と戦ったわ。  その魔王は「スラッシュ」と名乗っていて、名前に違わず剣の達人だったわ。胴体を真っ二つにされた時は、もう痛いとかそんな騒ぎじゃなかった。  こう、自分の血が身体を伝って顔まで来るの。まるで沼に沈むみたいにね。それから意識がぐぐっと遠のいて、真っ暗になるの。胴に痛みを残したままね。怖かったわよ。  ……まあ、その次は剣が届かないところから爆弾を投げつけてやったけどね。――卑怯? こんな細腕で戦うにはそうするしかないのよ。  そうそう、魔王「ジャングル」を討伐しに言った時にはほんとの底なし沼に沈んだわ。もがけばもがくほどずぶずぶ沈んでいくし、かと言って動かなくてもゆっくりと呑みこまれていく。ただ来もしない助けを求めて、窒息したわ。  ……窒息ってね、頭が痛くなるの。頭の裏側からガンガン金槌で殴られるような、そんな痛さよ。そんな痛みがあるくせに、やっぱりは意識は遠のいていくの。痛いのにね。不思議だわ。
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