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ワタシは『うらら』 現在、3つ年下の妹と両親と『とある国』の遺跡に観光旅行に来ている。 この国には有名な遺跡が多く、世界有数の観光地である。 夏休み前のこの時期、そんなに観光客は多くはないハズなのだが、有名な観光地のためか、意外に人が多い。 本来、ワタシはあまり人の多い場所は好きではない。 それは、ワタシの『能力』のせいだ。 『感応』 それがワタシの『能力』 お寺とか、神社とか、事故や事件で人が亡くなった場所とか…… 強い『想い』が残る場所…… 強い『想い』を発してる人とか…… ワタシの『能力』は、そんな『想い』に『感応』してしまう。 だから、いつもなら遺跡なんかにも近づかない。 けれど、両親から今回の旅行の話をされた時、何故かこの場所に来てみたくなった。 懐かしい……それでいて悲しいような…… ニューヨークが良い……とか、パリの方が……とか、あれこれ文句を言う妹の愛を説得(決して脅迫ではない)して、この旅行は実現した。 妹の愛は遺跡よりも近くの市で買い物をする方が良いと言って1人でさっさと行ってしまった。 本来、海外での日本人女性(特に若い娘)の一人歩きはあまりオススメできないが…… (まぁ、愛なら大丈夫だろうけど) 海外は慣れているし、腕もたつ上に、足もメチャクチャ速い。 (それよりも……やっぱり人の多い場所は苦手だ) 自分が来たいと思った場所なのに、来てみれば何かしっくり来ない。 そんな事をあれこれ考えながら遺跡を見てまわっていたが、人が多いせいか気分が悪くなってしまった。 人の少ない方へ向かい歩いていると木が生い茂りちょっとした森のようになっている場所に出た。 何かに引き寄せられるように、その中へと入って行く。 暑い陽射しの下から木陰に移動すると、独特のひんやりとした空気に触れ、肌から熱がひいてゆくのを感じる。 「涼しい」 ワタシはそう言うと更に奥へと歩いた。 まるで昔からよく知っている場所のように歩いてゆく。 しばらくすると少し広い場所に出た。 そこには、元は石造りの建物であっただろうと思われる残骸と、古い井戸らしきものと、小さな石碑のようなものがあった。 小さな石碑のようなものには、何か模様のような…文字のような…何かが彫られている。
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