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――先輩と付き合い始めてから、もう4カ月が経った。
『一ヶ月とか、余裕余裕!あたしは絶対長く続いて見せるから!』
幼なじみの尊に強がりで宣言した言葉は有言実行となった。
あたしたちは大したケンカもせず、付き合い続けている。
先輩は相変わらず優しくて、甘い。
先輩の顔を見つめるだけであたしは、太陽の下の氷みたいにどろどろに溶けて消えてしまいそうになる。
先輩の声を聞くだけであたしは、ただずっとその声に身を任せていたくなる。
会う度にあたしの気持ちは大きくなり続けて、もう体が持たないと、何回思った事だろう。
なのに、どこか満たされない。
充紀先輩があの果奈っていう女の子と歩いているのを最初に見た時、あたしが感じたのは怒りや悲しみよりも、違和感だった。
圧倒的な違和感。
でも、それが何か分からなかったあたしは、それを心の奥底にしまいこんで、見なかった事にした。
友達の晴菜や他の人から、先輩が他の女の子と二人きりで歩いているのを見たという話を聞く度に、あたしの中の違和感は首をもたげ、心臓をキリキリと苦しめた。
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