「切なさ」の味

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「……ううん、何でもない」  聞けない。  ただただ怖かった。  あたしの頭の中に浮かんだ悪夢が、現実になってしまうのが怖くて。 「行こ、先輩?」  あたしは後ろから先輩の手を取った。  骨ばった大きな手。  その感触を自分の手の平で確かめながら、考える。  一体何が変わったのだろうか?  違う。何も変わってない。  変わったのは、あたしの気持ちだけ。
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