1人が本棚に入れています
本棚に追加
淀んだ世界の真ん中で、鈍く光る一粒の宝石。
少年は追い求める。闇の中にある希望。
無限に広がる広大な地獄。灼熱の炎に身を焦がす。
収縮を繰り返す星たちの砂浜。呑まれて消え往く。
断ち切る罪。罪人の首。少年は現実を見る。夢は儚い。
残響。魂に刻まれた産声。心の唄は鳴りやまぬ。
咎と律。陰と陽。訪れる終焉。黒く、もっと黒く。
七色の糸が紡がれた。編み込まれて網となる。
縋る。掴む。離さない。
少年は宙に浮いた。大気の蒼が目に映る。
美しい、眩い、この世の果て。
重い悩み、思い悩む。全て虚空に閉じ込めた。
翼を得た。自由を得た。飛び回れ、舞って喜べ。
解放。理、因果、運命。独立。
目を閉じた。目を見開いた。なにが見えた?
新たな発見。創造を始めよう。
未来に架ける挑戦状。日常と今を飛び越え過去と繋ぐ。
時空を駆けろ。少年は静寂に身を委ねた。
自然と一体に成る。銀河の一部に成る。
そうすることで眼(まなこ)に焼き付ける。
真理を。即ち、醜悪さを受け入れた。
見守る。少年は駕篭の外で。
閉じられたこの場所は、きっと幸福で満ちている。
瘴気は吐き出した。善意だけを抽出する。
甘酸っぱい果実を齧る。
穢れは祓われた。羽衣を纏う。天に翔け昇る。
大地を見下ろした。他人を見下した。
少年以外、等しく無力。
約束された仮初の幸。
楽観視して陽気に踊る。足を振り上げ手を振り下ろせ。
円の中の雑多な現世は、四苦八苦と極楽で成り立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!