彼の家

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ほっと息をついたところで、誠人さんが話しかけてきた。 「俺、ソファーで寝るから、お前ベッド使って」 「いえ、それは申し訳ないです。お部屋に入れて頂いたのにベッドまで貸してもらうなんて」 「気にすんな。俺がしたくてしてることだから」 優しい。けれど、誠人さんに風邪を引かれても困る。 「じゃあ、一緒に寝ましょう」 「…は?お前なに、天然なの?それとも…」 誘ってるの?その言葉で顔に熱が集中していくのを感じた。 「ち、違います。私はただ、誠人さんに風邪を引かれたら困るから…」 「へぇ?俺の身を案じてくれるなんて、お前って結構優しいな」 「そんなことないです」 優しいとか言われたら照れてしまう。 あまり言われることのない言葉だから。
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