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ドゴッ
「うぐっ…げほっ…」
「くそっ!あの上司のせいで俺はいつまでも昇進できねぇ!」
ほぼ毎日のように父によって繰り返される、理不尽な暴力。
私はそれを黙って受け入れる。
不満を漏らせば暴力が悪化するからだ。
母はそれを黙って見ているだけ。
自分が犠牲になるのが嫌なのだろう。
それが嫌で、何度か家出しようとしたが、いつも親に見つかって失敗する。
それでも懲りずに家出しようとする。
今日こそ成功すればいいな。
自分の荷物をまとめて玄関に向かう。
まだ両親は気づいてないみたいだ。
いつ気づかれるかわからない。早くここから脱出しよう。
ガチャッ…
よかった、今日は見つからなかった!
でも、まだ気は抜けない。
「早く逃げなきゃ…」
私は東京行きの新幹線の切符をとり、東京へと向かった。
「はぁ…。なんとか家出できた…。これからどうしよう…」
勢いで東京に来たものの、どうしようか。
貯金は全くなくて、新幹線の切符を買うのに使い切ってしまった。
「今日はこの公園で寝るかなぁ」
なんて考えていると、後ろの茂みが揺れた。
「ひっ…。な、なに…?」
一瞬身構えたが、茂みから出てきたのは黒猫だった。
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