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「…なんで?」
「……。」
言えない。
見ず知らずの人に家庭の事情を言えるわけがない。
「……そんなに帰りたくねぇなら、俺の部屋来る?」
は…?この人は何を言っているのだろう。
普通、初対面で、家出してる女を助けようとするだろうか。
「…初対面の人にお世話になるなんてこと、できません」
「…あっそ。じゃあ、俺はそろそろ帰るから」
え?帰るの?
…当たり前か。もう夜遅いもんね…。
「はぁ…。なに?俺の顔になんか付いてる?」
「え?」
どうやら私は無意識に顔をじーっと見ていたようで。失礼なことをしてしまった。
「い、いえ、なんでもないです」
「そ。じゃあ帰る」
そう言って、男の人は本当に帰ってしまった。
「なんだったんだろ…。まぁ、いいや。寝よ…」
この日は、夜も更けていたため、このまま公園のベンチで寝ることにした。
明日からどうなるんだろう…。
まぁ…なるようになるか。
「おやすみ」
誰に言うでもなく呟いて、私は目を閉じた。
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