一方その頃のあいつ

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乱雑に焼いた生焼け干し肉を貪り、顔をしかめて食いかけを放り投げた。 それを通りかかりのワーウルフがそれを掴みかじるが、しかめっ面で吐き出した。 上手に焼けましたとはいかなかったようだ。 翌朝、サファイアは怪鳥も目覚めていない早朝に翼を広げて飛び上がった。 空を進むサファイアの眼下の景色は森から焼け野原、赤い川の流れる岩山へ変わっていく。 そして先を見れば星の息吹が吹き出す、巨大な火山が見えていた。 かつて、活動休止にあった休火山がとあることが原因で活性化され、頂上の火口からは真っ赤な間欠泉が吹き出す 竜の山こと富士山である。 それに近づくサファイアに気づいたワイバーンが山肌の巣から飛び上がり、威嚇するが、近づくとサファイアに平行して飛び始めた。 この世界のドラゴンは一部を除き縄張りの主張が激しく、番となった相方以外を排除にかかる。巣立った子や兄弟とすら争う。 だがこの竜の山は特別で、多種のドラゴンが縄張り争いをすることなく暮らしており、非常に珍しいことでダンジョンマスターや冒険者に有名だ。 そしてなにより勇者や魔王が関わることを嫌う土地としても有名である。 その名を出すだけで嫌な顔をすると噂もある。 ちなみに瑠璃姫が以前ルシフェルに試したところ、 「やめとけ。関わると面倒だぞ」 と頭を撫でながら諭された 閑話休題
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