合コン

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驚く藤浪さんを促して近くのベンチに座り、俺は再び質問をする。 「あの………いつくらいに振られたのですか?」 かなり立ち入ったことを聞いているのはわかっているけど、聞かずにはいられない。 そしてそれを聞いた後俺は…………どうするのだろうか。 「ちょうど2週間前です………。  友人の結婚式の後に………」 副社長、1回目の失恋の時だ………。 「それでも諦めきれなくで、先週きちんと気持ちを伝えようとしたんですけど………」 藤浪さんは儚げに微笑んだ。 先週は………2回目の失恋。 「私が体調崩してそのタイミングも外しちゃって。  その後電話をしたけど………もう出てもらえなくて」 仕事の合間に携帯電話を淋しそうに見つめる副社長を思い出した。 最近自分を自分自身で忙しくしている副社長が個人用の電話に出れないなんてよくあることで。 シズカさんが「最近智志が電話に出ない!」って俺に愚痴ってくる。 しかし、この二人………。 どうしてすれ違ってるんだ? いつからすれ違ってるんだ? 「メールはされなかったんですか?」 「受信拒否されてエラーメール返って来たら………立ち直れないじゃないですか………」 それはないだろう。 むしろ喜ぶと思う。 でも俺はそう藤浪さんには言えずに飲み込んだ。 「あの………まだ佐久間さんのこと、好き、なんですか?」 藤浪さんはハッとしたように俺を見る。 そして、目を伏せて、コクリと頷いた。 胸が………苦しかった。 チクリと小さい痛みには気付かないふりをして、俺は空を仰いだ。 厭味なくらいに晴れ渡った青空。 このまま吸いこまれてどこか行けたら………。 軽く現実逃避してると、藤浪さんが恐る恐る聞いてきた。 「あの………智志さん………佐久間さんとはお知り合いなんですか?」
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