第六魔導学院

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長身痩躯には黒いスーツが緩く纏われており、教師にしては伸びた黒い髪が右目を覆っている。 全体的に気怠そうな雰囲気の男は周囲を見渡しながら言葉を放った。 「あー、みんなおはよう。見慣れた顔がほとんどやけど、新顔もおるな」 スーツの男はクラスメイトを教壇から一望しながら言う。 「ほな先に僕の自己紹介だけしとこか」 男は黒板に名を記していく。 そして書き終えると再び生徒たちに視線を向ける。 「今日からこの1年B組を担当する淡海 賢介(おうみ けんすけ)や。歳は32。一年間、よろしく頼むね」 担任教師、淡海賢介は小さく笑って自己紹介を終える。 すると、敦司の後ろから衆が小声で尋ねる。 「遠夜、気付いたか?」 「あぁ。あの先生、隠してるつもりだろうが凄ぇ気質だ。魔導学院、面白くなりそうだな」 ニヤリと笑みを浮かべる敦司―――。 入学式を無事終えた新入生たちは、それぞれのクラスへと戻った。 すると、クラスに戻ってからは淡海がクラスを動かしていく。 「ほなまぁ、見知った顔がほとんどやろうけど新顔もおるからな。みんなの自己紹介からいこか」 すると、出席番号1番から順当に自己紹介が始まった。 その中で、敦司は何人か気になる者たちがいた。 「天宮当真です。得意な魔導は、雷系魔術と炎系魔術。混合術式を得意とします。 趣味は読書に散歩と、少々年寄りくさいですかね。 去年とはクラスも違い、不慣れな点もありますが、よろしくお願いします」 優等生と言わんばかりの自己紹介だが、その中でも気になる言葉があった。 混合術式。 複数の魔導を重ねて使用するという非常に高位な術式だ。 学生が簡単に会得できるものではないし、ましてや一年生が安易に手を出すものではない。 天宮当真という男の認識を改める必要があると、敦司は感じていた。
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