第六魔導学院

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「えーと、ティナ・クライフは今日は休みやったな。ほな、次天堂な」 「はい」 淡海に言われ立ち上がる生徒に視線を向ける。 敦司の一個前の席に腰かける男子生徒だ。 170に満たないであろう背丈は少し低めで、茶色の瞳と肩甲骨あたりまで伸びた髪を高い位置で縛っている。 まるで侍のようだと言わんばかりに。 「天堂 十兵衛です。得意な魔導は風属性で、剣術が得意なので組み合わせています。 父が歴史マニアでした『十兵衛』とつけられましたが、名に恥じぬよう尽力していきます。どうぞよろしく」 剣術少年、天堂十兵衛。 後ろからいても分かる鋭い気配。 戦わずとも、強いことが分かる。 このクラスも面白そうだと、思わず笑みを浮かべる敦司。 「ほな次、編入組の遠夜、いってみよか」 「うっす」 淡海に言われ立ち上がる敦司。 「関東から来ました、遠夜敦司です。正直魔導学院はつまらなさそーとか思ってましたが、皆さん見てて面白そうかなーとも思いました。 けど、まずはこの第六魔導学院でトップ目指してみようとか思ってるので、よろしくお願いします」 敦司の言葉に一同は言葉を失っていた。 すると、淡海が小さく笑みを浮かべていた。 「ええ目標やで、遠夜くん。ここの生徒は基本的に達観しとるんか、欲がない。君みたいにがめつくトップ狙う子がおれば周りも触発されるやろ。頑張れよ」 「うっす」 「それにしても、さっそく天宮くんと勝負するみたいやなぁ」 「いやまぁ成り行きで」 「立会人は僕や。心配せんと思いっきしやるとええ」 「うっす」 「ほな次は、同じく編入組の七峰くんやな」 「はい」 衆は短く答え立ち上がる。 「関東から来ました、七峰衆です。得意魔導は炎系魔術。 武具は槍です」 「魔導学院へは何故入学を?」 「何だか面接みたいですね。そうですね…」 衆は軽く頬をかいてから、答えた。 「ある魔族を確実に殺すため、ですかね」 そのあまりに凝縮された殺気にクラスメイトが全員冷や汗をかいていた。 ただの学生が放てる殺気ではない。 大きすぎる憎しみを持っているがゆえの力。 この歳ではそれだけの力を手にしていることの悲しさを、淡海は感じていた。
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