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朝起きて、食事を摂って、整容を整えて家を出る。
昼はいつものように姉と遊んで、母親が作ってくれた弁当を一緒に食べる。
そして夕方になったら、姉と一緒に家に帰る。
そんな日常が毎日続くと思っていたのに…。
なのに…なんだよ…なんなんだよ…これは…。
倒れてる自分の目の前に広がるのは大切な姉と対峙する化け物の姿があった。
姿は人と何ら変わらない男が、目の前であり得ない光景を繰り広げ続けている。
痛みなんて、痛覚が麻痺してるのかもう感じない…。
魔族…。
少年は視線を空に向け、夜空に綺麗に浮かぶ月の横にある赤い星に視線を向けた。
300年前突如現れた謎の惑星。
異世界リヴァースと呼ばれるその星の住人は、人間を食らう。
人と何ら変わらない姿で人間界にまぎれこみ、少しずつ捕食していく。
「ばけ…もの…が…」
「ハァ…ハァ…足りない…まだまだ、足りないぞ…」
魔族の男が姉を見ながら呟いた。
口元からは血が流れ、服には大量の返り血がしみ込んでいる。
少しずつ歩み寄ってくる男。
「あっちゃん、ここは私が受け持つわ。あっちゃんは逃げなさい」
姉の言葉に、少年は目を見開いた。
「そ、そんなこと出来ないよ!」
「言うことを聞きなさい。あなたを守りながら戦うことは出来ないの」
「け、けど、姉ちゃん」
「姉ちゃんはやめなさいと言っているでしょう?本当、物覚えの悪い子」
大人びた口調の姉は、振り返って小さく笑みを浮かべた。
そして、再び魔族に向きなおる。
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