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すると、姉の背中から光る翼が姿を見せた。
その姿を少年はただただ信じられないと言わんばかりに見ていることしか出来なかった。
「私の可愛い弟に手は出させないわ」
その言葉を最後に、少年が姉を見ることはなかった。
そして、目が覚めた時には知らない男が視界に映っていた。
誰かと電話をしている。
「あぁ、カラドリウスは既にいなくなっていた。交戦の形跡があるな。いや、相手は誰か分からんが、カラドリウスの魔力がないことを考えると仕留められたか?何?それは好都合だ」
白衣の男だ。彼はどこか嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ならばすぐに被験者を…それは悪いニュースだな。代わりを用意と言われても…」
その時、白衣の男の視線が少年に向けられた。
そして小さな笑みを浮かべる。
「いや、こちらで用意しよう。問題はない。あぁ、すぐに戻る」
男は携帯を切り、そして少年に視線を向けた。
「失うはずの君の人生。私が貰い受ける」
白衣の男はそれだけを言い、少年を抱きかかえた。
不安なはずなのに、どこか安心するぬくもりを感じていた。
「ねえ…ちゃん…」
そして少年は再び意識を失い眠りについた―――。
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