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「えーと、ここでいいんだよな?」
手に持った地図を見ながら少年は第六魔導学院を見上げる。
無駄をそぎ落としたような体躯には、ネイビーのスラックスと白いシャツに赤いネクタイ。
ベージュのブレザーが覆われている。
魔導学院のシンボルでもあるひし形の中に剣に突き刺された球体を描いている紋章がブレザーの胸元に描かれている。
少し赤みのかかった黒髪に吊り上がった茶色の瞳。
鋭利な刀をイメージさせる少年、遠夜 敦司(とおや あつし)は周囲を見渡す。
「さてと、入学式ってどこでやるんだ?広すぎだろ、わっかんねー」
地図を片手に校内へ足を踏み入れる。
するとその瞬間、敦司は足を止めた。
全身を刺激するような感覚。
「へぇ、強い奴らが多そうだな」
ここにいる大半は幼稚舎から進学してきた言わば魔導の経験者ばかりだ。
敦司のように外部からの編入者というのは毎年一人二人いるかどうかといったところ。
幼い頃から魔導に浸かってきた者たちが大勢いるのだ。
編入組の敦司にとっては非常に興味をそそられる相手ばかりだ。
「面白くなってきたぜ」
ニヤリと笑みを浮かべ、再び地図に目をやる。
すると、背後から声をかけられる。
「お前も編入組か?」
振り返ると、敦司はとっさに大きく後ろに飛ぶ。
(気配を感じなかった?相当やるな)
「そう警戒しないでくれ。俺も編入組でね」
少年は小さく笑って敦司に歩み寄った。
長身痩躯には魔導学院の制服が纏われている。
茶色の鋭利な瞳に、黒い髪と整った顔立ちの少年だ。
「あぁ、そいつは悪かった。気配まったく感じなくてな、あんた強いな」
「それはお互い様だろ?お前からも異様な気を感じたんでな、気配を殺させてもらった」
敦司の前に歩み寄った少年は、スッと片手を前に出した。
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