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霊夢が居なくなった途端、魔理沙はちゃぶ台の上の煎餅に手を伸ばし、掴む。そして手に持った煎餅をばりばりと頬張り始めた。
「おい、いいのか?」
「いいんだよ。これが霊夢と私の日常茶飯事だ」
毎日、こんな事してんのか。
霊夢も大変だな。
「そういえば、霊夢の能力は?」
「『空を飛ぶ程度の能力』。けれど、半端じゃなくあいつは強いぜ」
「へぇ……」
その気になればこの神社程度の大きさのものをふっとばせる魔理沙が言う事なので、それは怖い。
霊夢は怒らせないようにしよう。
「そういえば、零夜は能力なんかはもう目覚めたりしてんのか?」
「知らねーな。正直、自分が能力に目覚めるなんて実感、湧かないんだが」
そりゃ、そうだよな、と魔理沙は呟いた。
ここに来ると大体は自分の能力に目覚めるらしいけど、俺はどうなんだろう。
仮に目覚めたとしても、しょうもない能力だったりして。
「でもなぁ……」
「ん? どうした」
「一番俺が気になることはあれ、なんだよ」
俺が指さす方に有る、隅に置かれた黒くて長いもの。
所謂、拳銃という奴がそこにはあった。
まさか、霊夢のものではないはず。
「……あれって零夜のものか?」
「……多分そうだと思う」
「あれはどんなふうに使うんだ?」
魔理沙が部屋の隅に置いてあった拳銃を手にして、俺に問いかける。
俺は自分の知識フル動員で思い出す。
それの使い方を。
「えーっと、だな。こんな風に持って、構えて。引き金を引くと弾が出るんだ」
「弾って、『弾幕』か?」
弾幕?
何のことだろう。
「いや、その弾幕ってもんは知らないけどこんな風に……」
そこで俺は引き金を引いた。
すると拳銃から俺側へ、ほんのちょっとだけ力が加わった。
つまり、反動がきた。
反動が来るということは、弾が飛んだという事。
「……っ!」
嘘だろ?
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