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文の手帳について皆が興味を持たなくなったところで、文が口を開いた。
視線の先には俺が居て。
「今日は零夜さんに用があったんですよ」
「俺?」
まだ幻想郷に来て一日目のはずだが、どうして。
すると文が少し付け加えた。
「いいスクープが無いかと思って博麗神社に来たら、魔理沙さんと誰かが闘っているではありませんか、と。そして霊夢さんに事情を聞けば、新しく外来人――正確には新たな幻想郷の住民が来たではありませんかってね」
これはスクープだ、と文は思ったという。
「それで俺に、インタビューというわけか?」
「はい!」
またもや飛びっきりの営業スマイル。
先程の霊夢と魔理沙の発言も相まってか、信用がいまいち置けない。
大体、初めて会った奴を信用するのもおかしな話か。
「駄目、ですか……?」
「……うーん」
俺が迷っているとまた魔理沙が突いてきた。
「やめといた方がいいぜ零夜。どんな事書かれるかわからねえぜ?」
「うーん」
どうせこのまま手ぶらで帰らしても、きっと俺の事は記事に載るだろうし、ならいっそ別にいいか……?
「まぁ、いっか。どうぞ俺の事好きなだけ書きな」
「ありがとうございます!」
すると霊夢のため息と魔理沙のため息が、聞こえた。
曰く、このお人よし、だとか、どうなっても知らねえぜ、とか。
今更、少し不安が出て来た。
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